とんとん拍子で覚える海外サッカー

サッカーのデータ分析最前線

データ分析

サッカーの世界ではデータ分析の重要性が急速に高まっています。試合の結果は、選手の個々の技術やチームの戦術だけでなく、細かなデータの積み重ねによって左右されるようになりました。中でも、xG(期待ゴール数)やポゼッション率といった指標は、試合の流れやチームのパフォーマンスを評価するうえで不可欠なものとなっています。

xG(期待ゴール数)は、シュートの質を定量的に評価する指標の一つです。これは、過去の膨大な試合データを基に、シュートがゴールになる確率を数値化したものです。
ペナルティエリア中央からフリーで放たれたシュートのxGは0.7(70%の確率でゴール)となる一方、ペナルティエリア外からのミドルシュートのxGは0.05(5%の確率でゴール)といったように、シュートごとに異なる期待値が割り当てられます。
単に得点数だけを見るのではなく、どのような状況でシュートを打ったかを考慮することで、攻撃の質をより正確に分析することが可能になります。例えば、シュート数は多くてもxGが低い場合、そのチームは効率の悪い攻撃をしている可能性が高いと言えます。

ポゼッション率もまた、試合の主導権を判断するための重要な指標の一つです。一般的に、ポゼッション率が高いチームは試合をコントロールしていると考えられますが、必ずしも勝利に直結するわけではありません。
例えば、バルセロナやマンチェスター・シティのようにボール保持を重視するチームは、高いポゼッション率を記録することが多いですが、カウンターを武器とするチームは意図的にポゼッション率を下げることもあります。
データ分析の視点では、単なるボール保持時間ではなく、「相手陣内でのポゼッション」や「ボールを奪われた後のリアクション速度」などの指標を組み合わせることで、より精緻な評価が可能になります。

選手のパフォーマンス

パス成功率やプログレッシブパス(ゴール方向への前進性のあるパス)といったデータも、チームや選手のプレースタイルを判断する材料となります。単純なパス成功率だけでは、横パスやバックパスが多い選手も高い数値を記録するため、本当に効果的なパスをしているのかを評価するには、相手ゴールに向かう意図のあるパスの数を分析する必要があります。
例えば、ケヴィン・デ・ブライネのようなプレーメーカーは、パスの成功率以上に、どれだけ相手の守備ラインを突破するようなパスを供給しているかが重要になります。

デュエル勝率(1対1の競り合いでの勝率)やプレス成功率(相手からボールを奪う確率)といったデータも、守備の評価に活用されるようになっています。例えば、ボール奪取能力に優れた選手は単にタックル数が多いだけでなく、高いプレス成功率を誇ります。

データ分析を活用することで、単なる試合結果だけでは見えてこないチームや選手の真の実力を評価することができます。従来のスタッツに加え、より高度な指標を取り入れることで、サッカーの理解が深まり、チームの強みや課題を客観的に把握することが可能になります。今後も、データ分析の進化は止まることなく、サッカーの戦術やスカウティングにおいてますます重要な役割を果たしていくでしょう。

ポゼッション率